■□■□■□   フォトダマ通信 Vol.77「二つの贈り物」の巻    □■□■□

┏┏┏┏┏┏■┏┏┏┏┏┏■┏┏┏┏┏┏┏■┏┏┏┏┏┏┏■┏┏┏┏┏┏┏■

2007.1.24 記

 八ヶ岳の山麓に暮らし始めて二か月近くになろうとしている。正月過ぎに降った
雪は、根雪となって窓の外は一面雪化粧で覆われていた。
 石巡礼が終りに近付いている頃、知人の紹介である別荘を借りて生活を始めた。
標高1300mもの高原にある別荘近くからは、八ヶ岳や富士山を望むことができる。
三年間の車上生活者にとっては、何とも贅沢すぎるほどの環境だ。

 ここしばらく、石巡礼で撮り貯めた写真を整理しているが、整理整頓が苦手な性
分から、この作業はある意味で行に近い。また、旅生活から籠りの生活への変化は、
なかなか慣れない。これまで撮影した石の写真を見ながら、時折、石酔いがはじまる…。

 昨年の暮、群馬の館林にあるスペースUで石の語りべをした。オーナーの美術作
家のタカユキオバナさんから声をかけてもらい、日本石巡礼クロージングパーティ
ーの企画を組んでもらった。

 想えば、館林にあるスペースUには、石巡礼の途上何度もお邪魔していた。そこ
を紹介してくれた川島健二さんに、ある時こんな話を聞いた。
 「昔の遊行僧たちは、気がめいったりすると自分の故郷の周辺をうろうろと巡っ
ていた。」
 遊行僧ならぬ、私自信も故郷の周辺のスペースUを巡りながら、元気をいただい
ていたのだろう。
 石の語りべが終わり親睦会になった時、三年ぶりに再会した和賀さんからある雑
誌をプレゼントされた。それは「上州路」という群馬の郷土誌だ。彼は、たまたま
本屋のトビラにこの雑誌の広告を見つけ、私のためにと購入して下さったのだ。拝
見すると何と、特集が「群馬の石と岩の伝説」である。そこには、私の知らない石
が多く紹介されていて、母校の先輩でもある写真家の金井氏も取材をされていた。
雑誌の巻頭に、「上州路」編集・発行人である関口さんはこのように綴っていた。

 『古来、日本人の精神生活の根幹は、アニミズム(自然崇拝)であった。なかで
も、石には神の霊が宿る、とされ、信仰の対象となって来た。私達は、一寸野山を
歩けば石に刻まれた仏像や道祖神、石塔などを数多く見ることができる。それとは
別に、何の変哲もない只の石に、しめ縄が張られ、村人たちによって大切に祀られ
ているらしい石に遭うことが多い。その一つ一つの縁起や伝説を尋ね、神となった
ことへの謎に迫ってみたい、と思ったのが発端である。実際に歩いてみると昔ばな
しの類が多いのでは、という予想をはるかに超えて楽しかった。…(関口)』

 三年の石巡礼を終えた時、群馬の郷土誌が石と岩を特集をするとは、実に嬉しく
かつ誇りに思えた。
 年末、私にとって大きな知らせが届いた。それは三年間連載している月刊「石材」
(石文社)の編集長の中江さんからものだ。新連載の依頼で「生きている間じゅう
連載してもらいたい」との知らせだった。
月刊「石材」の新連載、「聖なる石に呼ばれて」は、2007年1月号からスタートした。
もう、石から逃げられない…。

                      清里にて
                          須田郡司 拝

« 前号次号 »