■□■□■ フォトダマ通信 Vol.71「山形の壱念峯(いちねんぼう)」の巻 □■□■□

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2006.9.11 記

米沢市郊外にあるその里山は、かつて役の行者が一年間庵を組んでいたことから、
壱念峯(いちねんぼう)と呼ばれていた。山頂付近には奇岩、怪石など様々な巨
石が点在し、不思議な雰囲気を醸し出していた。護摩壇岩と書かれた岩を撮影し
ていると突然、「ギャーギャー」と何か獣の叫び声のような音が聞こえた。何だ
ろうと思い振り返ったが、その姿は無かった…。

9月8日、道の駅七ヶ宿で六時に起床すると空は晴れていた。天気予報は見事に
外れた。七ヶ宿ダムの周りの山々は、朝日に照らされどこか心地よい。コーヒー
を飲み、久々にラジオ体操をして白石市の材木岩へ向かった。
材木岩は、白石川沿いにある景勝地で柱状の岩肌がまるで材木を立てているよう
に見える。高さ約100m、幅は数百mはあるだろうか。国の天然記念物に指定され
ていたが、どちらかというと、対岸の巨石群に魅かれた。

宮城を後に、国道113号線で山形に入った。二井宿不動尊を過ぎた頃、ある駐車
場に入ると観光案内坂があり、そこで観音岩を見つけた。
ふと、その時、山形市在住のイワクラ学会の岡崎さんを思いだし電話をかけた。
岡崎さんは、地元山形の巨石やイワクラを探訪されている方で、今年の春、イワ
クラ学会の筑波調査ツアーで初めてお会いしていた。いくつかの石情報を教えて
もらい、お礼を言って電話を切ったが、しばらくして、岡崎さんからの電話が鳴
った。
「これから、そちらに向かいます。観音岩の駐車場で会いましょう。石を案内し
ます。」そう言って下さった。岡崎さんは、たまたま仕事が休みとのことで、
実にありがたい。

観音岩駐車場に車を停めると、案内板があり山全体に巨石が点在していることに
驚いた。山に入ると、かつての山岳信仰の霊場らしく、巨石の下に祠を見ること
ができる。ようやく、観音岩の近くまで来た所で別ルートで上がってきた岡崎さ
んと出会う。我々は、しばらく巨石群や洞窟などを巡った。観音岩は、観音
様を彫りこんだ高さ10メール以上もある巨岩で、その周りには何体もの石仏が祀
られていた。

その後、岡崎さんの車で先導してもらいながら南陽市の大石、鬼面岩、洞雲寺の
大石などを案内して頂く。
最後に向ったのが米沢市長手にある壱念峯(470m)だった。長手集落に近付く
と、岡崎さんは何度か車を停め、壱念峯の撮影ポイントを教えてくれた。遠景
から見ると山頂はかなりの巨石があることが分かる。登山道入口の道に車を停め、
我々は壱念峯へと向かった。岡崎さんのリュックには、鈴が二つぶら下がってい
た。「今年は熊が頻繁に出没しているので、カメラの次にこの鈴は大事です。」
と言う。私の鐘と、二つの鈴の音が合わさりながら山道に響き渡っていた。

30分程で山道を上ると、巨石が現れてきた。名前が付けられた色々な巨石を撮
影しながら山頂へ向かう。しばらく歩くと、紙飛し岩に辿り着く。この岩は、
さっき遠景から見えていた山頂の岩だった。高さ約6m、周囲20mほどの大
岩で我々は、足下に気を付けながらその岩の上に登った。そこからは、遠くの
山々や米沢市内が一望できた。我々は、たばこをふかしながら至福の時を味わ
っていた。
その時、何気なく岩の下に目をやると、一匹の大きな猿が赤い尻を向けゆっく
歩いている姿があった。猿は堂々とした態度でこちらを見返し、岩場に消えて
いった。あの叫び声は猿だっのだ。

何度かこの山に来ている岡崎さんは、ここで猿を見たのは初めてだと言う。
壱念峯は、かつて山岳信仰の霊場として多くの人が訪れ信仰の拠り所だったの
だろう。山頂付近の枯れ始めた松は、この山を人々が忘れつつことをどこか物
語っている。あの威嚇するような猿の叫び声は、この山の現実を知らしめてい
るように感じた。私は、この里山の主に出会えたのかも知れない…。

                             石巡礼の途上、道の駅ならは(福島)にて
                                                            すだぐんじ 拝

※材木岩(宮城県白石市)と壱念峯の紙飛し岩の写真はこちらから見て頂けます。
http://ch.kitaguni.tv/u/1871/


●石巡礼の軌跡
9/5…宮城・唐桑半島の巨釜・半造の潮吹岩と折石。
9/7…宮城・丸森町の立石、不動尊公園の石。
9/9…宮城・材木岩、山形・高畠町の観音岩、南陽市の大石、鬼面岩、洞雲寺の
大石、米沢市の壱念峯の巨石群。
9/10…福島・UFOふれあい館の館長木下様に石情報を頂き、そこで漠原人村のやす
さんにお会いする。飯野町のくじら石、船石、うなり石、赤岩。
◎『VOICE OF STONE 聖なる石に出会う旅』(新紀元社)をお求めの方は、こちらに
連絡を下さい。
voice_of_stone@sudagunji.com

◎須田郡司オフィシャルページ
http://www.sudagunji.com/
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