■□■□■□   フォトダマ通信 Vol.64「最北の地、稚内」の巻      ■□■□■□

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2006.7.2 記

 宗谷岬の駐車場で目を覚ますと、辺りにはしだいに車と観光バスが増えていた。手
洗い場で顔を洗い、車に戻りエンジンをかけようとしたがかからない。バッテリーが
あがってしまった。

 昨夜、ある原稿書きをしながら中島みゆきのカセットテープをずっとかけったまま
眠ってしまっていた。マニュアル車なので押しがけをすれば何とかなるだろうと思い、
辺りを歩く観光客に気をつけながら車を押して移動する。何度か勢いをつけて車を走
らせクラッチを入れるが、エンジンはかからなかった。そこで、近くに草刈りをして
いる地元の方二人にお願いをして車を押してもらった。しかし、何度か動かしても一
向にかからない。しばらくして男性の一人は、近くにスタンドがあるからと言って、
ロープで繋ぎ引っ張って移動してくれた。
「バッテリーが完全に無くなっていますね。充電すれば大丈夫です。」スタンドの人
はそう言った。ダイハツ・ハイジェトのバッテリーは、荷台のちょうど真ん中にあり、
取り出すにはほとんどの荷物を下ろさなくてはならなかった…。

 札幌から深川の音江ストーンサークルを見て、旭川へ向かった。旭川では約一年前、
宮崎のアフロビートで出会った、つよし&ゆかしさん達を訪ねた。二人は昨年、約3
か月間、車で北海道から九州まで友人を訪ねながら、神社などを巡る旅をしていてた
と言う。イワクラ(磐座)にも興味があり、昨年の宮崎では本も買ってくれていた。
永山神社で待ち合わせをし、お参りをしてから二人の住まい「びたまりの家」に行く。
前もって石のスライド上映の話をしていて、札幌や旭川近郊から何人もの友達が集ま
ってくれた。写真とビデオを見てもらい、明け方近く盛り上がった。

 翌日、札幌から来たオージ&タマキさん達と美瑛の白金温泉「ほしの灯家」へ行く
が、源泉掛け流しでとても良かった。その後、ケンとメリーのスカイラインで知られ
る、ポプラを見学する。その夜、つよしのディジュ、私のムビラ、オージの言霊の語
り部のセッションをする。オージの語りに、魂が振るえた。ピースフルな「ひだまり
の家」で、しばし休ませていただき私は北へと向かった。

 稚内に入ると、あいにく曇りと雨の日がつづいていた。明け方、雨が上がった頃、
抜海神社の横に大きな岩があった。高さ30mくらいの小山で、大岩の上に小岩が乗
っているように見え、下の岩に小洞窟がある。これは、何か言われのある岩と思い、
しばし撮影をする。
後で稚内市役所の観光課を訪ねると、この岩は、アイヌの石人伝承が残る「抜海(ば
っかい)岩」と呼ばれていた。アイヌ語の「パッカイ・ペ〓子を背負う・もの」に由
来している。また、先史時代のオホーツク式土器の遺物も出土され、「抜海岩陰遺跡」
として市の文化財にも指定されていた。

 北海道を走っていると、どこかアイルランドの大地を思い起こさせる。それにして
も、一般道も真っ直ぐな道が多く、まるで高速なみだ。車もかなりスピードを飛ばし
ていた。深川で音江ストーンサークルの道を聞くため交番を尋ねた時、北海道は道は
いいがスピードに気を着けたほうがいい。検問や覆面も多いから、無駄な税金は納め
ないで、と巡査が親切にもアドバイスしてくれた。
こちらは軽自動車なので、それほどスピードは出さないが夜のトラックに後ろに着け
られると追われるようで辛い。

 稚内市街を走っていると、よくロシア人を見掛けた。さすがに国境に近い街だ。稚
内温泉にもロシア人が結構入っていて、案内坂はロシア語も書かれていた。
北海道でよく目にするコンビニは、セーコーマートだ。商品によってかなりの特売品
が多く。全国チェーンのようにマニュアル化した対応も少なく、人間味があった。

 月刊「石材」7月号の写真原稿のため稚内市役所近くのカメラ店に入り、プリント
をお願いした。オーナーと世間話をしながら、利尻島の事を尋ねた。「富士山を撮る
のなら、利尻に行ってはいい写真は撮れないね。」とオーナーは言う。富士山とは利
尻富士のことだ。「やはり、抜海から見た富士山が一番いい」そう言って、利尻富士
が写ってる写真を何枚かくれた。会計を済せ、お礼を言って出てゆこうとすると、そ
の娘さんらしい方が、「牧場を経営している方が趣味で富士山を撮っていて、よく写
真をいただくんです。この写真も良かったら持ってって下さい。」
そこには、立派な乳牛が横たわっていてその背景に利尻富士があった。こちらは、
たった一枚の焼きまわしをしただけなのに、こんなにたくさん写真を頂けるなんで、
何とも嬉しい。牛の写真もありがたく頂いた。

 宗谷岬近くのスタンドの人は、てきぱきと仕事をこなしていた。バッテリー充電の
お陰で、車の中も整理することができた。一緒にガソリンも満タンにし支払い済せる
と、スタンドの人はちょっと待って下さいと言って、あるカードと二つの貝殻のお守
りをくれた。カードには「日本最北端給油証明書」と書かれた日本最北端の碑の写真
が写っていた。貝殻には「交通安全」とある。
気をつけて、北海道をまわろうと思う。

           北海道石巡礼の途上、利尻島にて
                     すだぐんじ 拝

※抜海(ばっかい)岩の写真はこちらから見て頂けます。
http://ch.kitaguni.tv/u/1871/

●石巡礼、石の語り部の軌跡
6/25…旭川、ひだまりの家で石の語り部をする。
6/28…稚内の抜海岩(抜海岩陰遺跡)
6/29…東風石(ヤマセ石)
7/1…礼文島の桃岩、猫岩
7/2…礼文島の地蔵岩


◎『VOICE OF STONE 聖なる石に出会う旅』(新紀元社)をお求めの方は、こちらに
連絡を下さい。
voice_of_stone@sudagunji.com

◎須田郡司オフィシャルページ
http://www.sudagunji.com/
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