■□■ フォトダマ通信 Vol.62「十一年ぶりのウエサク祭〜名草戸畔」の巻 □■□

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2006.5.25 記


日付が変わり、5月14日の午前3時が近付いていた。休憩場で休んでいた人達
は身支度を整え、鞍馬寺本堂前の護摩へと向かった。やがて護摩の周りは人垣で
いっぱいになった。いよいよウエサク(五月満月)祭のフィナーレ、護摩の法要
が始まる。火が灯され、先達による読経と真言が唱えられる。小雨に打たれなが
らも、炎はだんだんと立ち昇っていった。般若心経の時、声高に唱和するといつ
しか音の渦に浸ってゆく。人々の表情は、どこか恍惚感に酔いしているように見
えた。それにしても、これほど多くの人がウエサク祭に集まっているとは…。

「なかひらまいさんと言うファンタジー作家の方が、名草戸畔(なぐさとべ)を
調べに来るん。面白そうやからそれに会わせて和歌山に来たら?」と和歌山のラ
イターまあちゃんから誘われたのは、連休明けの頃だった。まあちゃんのホーム
ページに名草戸畔の記事をアップしていて、それを見た作家の方から連絡をもら
ったと言うのだ。ちょうど和歌山に寄るつもりだったので、その会合の日に合わ
せて和歌山のオーガニックレストラン・カンタデルソルへ向かった。和歌山は昨
年のいしのかたりべ以来、半年ぶりである。レストランにはファンタジー作家と
連れの方々、和歌山の友人達とレストラン・オーナーの顔があった。

末席で話を聞いていたが、名草戸畔のことは何も知らなかった。話を聞いている
と、名草戸畔とは神武東征の時に制服され殺された卑弥呼のような巫女(男の説
も)で、「日本書紀」に出てくると言う。その力をよほど恐れたのか、名草戸畔
の身体は頭と腹と足をバラバラにされ葬られたというのだ。かれらは、名草山を
神体山として信仰し名草王国を築いていたとも。作家の方は、あるご縁で名草戸
畔を調べるようになったと言う。小説を書くことは、ある意味で時空を超えた鎮
魂をする行為なのかも知れない。

その夜、和歌山の友人達と宴の中にいた。作家夫妻も交え話は盛り上がった。
後日、私は紀三井寺のある名草山を登拝する。高皇神社を過ぎた山道の途中、一
つの巨岩を目にした。竹林をすぎ稜線を歩いていると実に穏やかな山の気を感じ
る。名草山山頂から、和歌浦湾や和歌山市街が見事に一望できた。

なかひらまいさんを、知合いの漫画家M女史にお引き合わせしたいとの思
いで連絡をとると、すぐ返事が帰って来た。M女史は丁度、名草戸畔のことが気
になっていたと言うのだ。その時、その御つなぎで和歌山に来たのかも知れない
と思った。
翌日、M女史から電話があり、鞍馬寺のウエサク祭のことを尋ねられた。彼女は
ウエサク祭に行くのが初めてで、祭の内容の問い合わせの電話だった。
ふと、十一年ぶりにウエサク祭に行ってみようと思い立った。

5月13日の夕方、岡山から駆付けた馬杉さんと京都で合流し、我々は太田神社を
お参りしてから鞍馬寺へと向かった。小雨が降る鞍馬寺への参道はすっかり暗くな
り、坂道を歩く感触が懐かしい。心地よい汗をかき本堂に辿り着くと、午後7時を
まわり祭は始まっていた。ざっと見て二百人以上はいるだろうか。鞍馬寺での法要
が終わった頃、漫画家のM女史とも再会できた。連れの方々と我々は、参拝者休憩
場へと向かった。持って来られたサンドウィッチやお寿司をご馳走になりながら、
色んな話に花を咲かす。ウエサク祭の楽しみの一つは、長い休憩時間での懇親会だ
った。

十一年ほど前まで、私は鞍馬寺のウエサク祭に連続して五回ほど通っていた。ウ
エサク祭は五月の満月におこなわれる儀式で、夜七時から始まり翌朝の四時位ま
で行われる秘祭だ。五月の満月は、月から地球に降り注ぐエネルギーが最も強い
と言われ、そのエネルギーを受け取る祭なのだと言う。ウエサク祭は、鞍馬寺以
外にも幾つかのアジアの国々にも伝わっていると聞く。本堂での法要、聖水に満
月を浮かべて飲んだり、月下の瞑想、護摩の法要などが営まれる。その時、天空
にアストラル体としてブッタやキリストが顕在するとも言われるが、私は見たこ
とは無かった。ややオカルティックな雰囲気のある儀式である。面白いのは、そ
こに集う方々だ。口コミで来るのだろうが、僧侶や神道家、スピリチュアルな世
界に関心のある方々、ごく普通に見える方々、ニューエイジピープルと実に様々
で常連さんも多い。

最後に参加したのは、忘れもしない1995年のウエサク祭だった。その年は、
阪神大震災、オウム真理教事件があった。その頃、ウエサク祭の前日まで私は清
里にいた。フランスに亡命したベトナム僧テックナットハーンのリトリートが清
里でおこなわれ、スタッフとしてに参加していた。最終日の昼食で、野草
のコバイケイソウとキボウシを間違え、味噌汁に混入し、それを食べた人々が
次々と倒れいった。それは百人もの人が救急車で運ばれ入院する事故になった。
私も食べていたが、水を飲みできるだけ胃の中のものを吐いた。しかし、口の
中のピリピリ感は残っていた。幸いにも後日、皆無事に退院できたことを知る。
そんなハプニングの直後、深夜列車で鞍馬寺へ向かった。月下の集いの後、境内
に置いていたリュックが消えていた。その中にはコンパクトカメラ、衣類など
が入っていた。悔まれたのはスコットランドのアイオナ島でフィンドフォーン
の方から頂いて、穴の空いた石笛だった。その出来事から、しばらくウエサク
祭から離れていた。しかし、想えば聖地巡礼を始めるきっかけの一つは、この
鞍馬寺との出会いであった。そんな思いもあり今回、久々にウエサク祭に参加
したいと思った。

ウエサク祭の二部、月下の集いは、雨のため本堂の中で行われた。ところ狭しと
人々は身体が触れ合うようにして座り、しばし瞑想の時を過した。その後、三部
の護摩まで時間があったので仮眠をとった。

祭りは終わりに近付いていた。人々はロウソクを灯しながら護摩に向かって、そ
れぞれ何かを祈っているように見える。しばらくすると、小さな歓声が上がった。
護摩を見ていた人が、後ろを振り向きはじめたのだ。私も思わず、後ろを振り返
った。天空の雲の隙間からしだいに満月が顔を出そうとしていた。やがて煌煌と
した満月の姿がはっきり顕れた。
ウエサク祭は終った。雨はすっかりあがり、東の空から金星が光りはじめていた。
十一年ぶりのウエサク祭で、何か新しいものが私の中で動きはじめていることを
感じていた…。


           伊勢山上のふもと、松阪にて
                          すだぐんじ拝

※ウエサク祭の満月の写真はこちからから見て頂けます。
http://ch.kitaguni.tv/u/1871/

●石巡礼の奇跡
5/8…奈良・岡本寺から原邸へ
5/9…和歌山のカンタデルソルへ
5/11…和歌山・名草山登拝
5/12…明日香資料館でキトラ古墳の白虎を拝見、雌綱近くのイワクラ
5/13…京都・鞍馬寺ウエサク祭
5/14…京都・日向大神宮を参拝、岡山市デジタルミュージアムで能勢伊勢
雄氏の講演「DIGITAL MNEMOSYNE LABORATORY」を拝聴
5/18…島根・琴弾山登拝をリベンジ
5/20…亀岡の大本天恩郷参拝、京都造形大学で鎌田東二氏の御案内で
「モノ学・感覚価値研究会」を拝聴・親睦会
5/21…滋賀・多度大社、胡宮神社、青龍山のイワクラを巡拝
5/22…滋賀・河内の風穴
5/24…三重・御在所岳の登拝
5/25…三重・伊勢山上の登拝

●フォトダマ通信後記
★今後の石巡礼の予定。
5月27、28日のイワクラサミット
in鳥羽に参加後、和歌山、関東経由で6月初旬頃
から北海道へ(7月頃まで)、8月、9月は東北の石巡礼を考えております。
北海道と東北の石情報がありましたら、ぜひお知らせ下さい。宜しくお願い致し
ます。
★友人の天川彩さんが、今月16日発売の小説「タイヨウのうた」(ソニー・
マガジンズ)を出版しましたので紹介させて頂きます。これは6月に公開され
る映画の原作本で、TBSでもドラマ化が決まったようです。彩さんの今後の
展開が楽しみです。

★なかひらまいさんの本「スプーと死者の森のおばあちゃん〜スプーの日記〜」と
ブログアドレスを紹介させて頂きます。
「スプーの日記1」
http://blog.livedoor.jp/nyantarou01/
「スプーの日記2」
http://blog.livedoor.jp/spoo02/

「名草戸畔(なぐさとべ)」研究のブログ
http://blog.livedoor.jp/nagusatobe/archives/cat_50017323.html



☆お詫びと訂正。フォトダマ通信61号の中で「赤紫の藤の花」は間違いで、正
しくは「赤紫の山つつじ」でした。謹んでお詫びし訂正させていただきます。

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VOICE OF STONE 聖なる石に出会う旅」(新紀元社)をお求めの方へ。

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展覧会をさせて頂いたギャラリーです。電話/FAX:0276-75-3953
SPACE-U HP:  http://www1.ocn.ne.jp/~space_u/ 
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講座やワークを開催しているフリースクールです。
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