■□■□   フォトダマ通信 Vol.36 「お遍路座ストーン」の巻        ■□■□

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2005.05.19記

5月11日、87番札所長尾寺をお参りし境内のベンチで休んでいると、ある女性
が近づいてきた。
「歩き遍路をされているのですか。同じようにリュックを持った、この男性を見
かけませんでしたか。」そう言って女性は写真を見せた。そこには、トレーナーを
着た四十歳前後の男性の姿があった。その男性は45番札所から歩いて二週間にな
るが連絡が無く、どこにいるか分からず探しに来ているのだと言う。
写真を拝見するも、これまでの遍路の中でその男性を見た記憶は無かった。

「見ませんでしたか。」と、ため息混じり応えると軽く頭を下げ車に戻って行った。
車の横には、その男性の母親と思われる方が立ってた。何かの理由でその男性は行方
を隠し、それを探すために車で札所を巡り遍路者を見つけては尋ねているのだろう。
もうすぐ、結願しようとしている私にとって、その親子の後姿はどこかやり切れ
ないものがあった。
お遍路に旅立つ者は、様々な因縁を背負っている。供養、浮気、嫁姑の苦、庶民の
悩みなど…。自殺を考えて四国に来た遍路者が、魂を救われることもあれば、その
逆もある。

そう云えば、36番札所青龍寺の手前の塚地坂トンネル入り口近くの休憩場で、ある
遍路者からやはり行方不明になった男性遍路者の写真を見せられたことがあった。
彼は、行方不明になった男性の身内から、写真を預かりその行方を逆打をしながら
探していた。行方不明になった男性は、長身の僧侶だった。托鉢をしながら遍路に
出て三ヵ月近くなるが、音信不通になり家族が心配をしていた。
僧侶が家出をする。何とも皮肉だ、しかし、ある意味で今日的な社会を象徴してい
るようにも見える。托鉢で歩くことで、その僧侶は何か本質的なことに出会い、サ
ラリーマン化した僧侶への矛盾を感じて現実社会に戻れなくなってしまったのでは
ないだろうか。それとも、この四国の中で、別な生き方を見いだしたのかもしれな
い。何度もお遍路体験をするうちに、「お大師さん」と出会い、仏道に入るという
話は、このお四国では珍しくは無い。

何日か前になるが、NHKのラジオ深夜便「心の時代」で作家早坂暁氏が四国遍路の
話をしていて、食い入るように聞いていた。子殺しの父親がお遍路をすることによ
って罪業が少しづつ癒されてゆくと云う内容だった。彼の云う、お遍路は1400キロ
ものテーマパークと云う言葉は、実に的を射ていると思った。遍路道は、山あり里
あり、街あり、実に様々な四国の風景を見せてくれる。そして、そこには地元の方
々との触れ合いや、お接待がある。お接待はボランティアでは無い。遍路者は、ど
こか身代わりに回ってもらっている。そしてお大師さんと回っているからこそお接
待というお持て成しを受けられるのだと云う。なるほどと思う。

和歌山のTさんからのメールで、大窪寺への遍路道添いのおへんろ交流サロンとい
う処で、歩き遍路者に記念品をいただけるとの案内をもらい、さっそく寄ってみた。
記念品は、国際ロータリークラブ発行の遍路大使任命書と云う賞状だった。
おへんろ交流サロンを出て、少し坂を上って行くと、車道から細い遍路道に分岐す
る左側の辻に人の背丈ほどの立派な庵治石が見えてきた。ようやく、ここまでくる
ことができた。そう思うと実に感慨深い。この庵治石でできた石碑は、作家佐藤孝子
さんの発願で建立された「遍路道中物故者供養碑」だ。石碑の下には、和歌山のT
さんを始め、今治の友人達の名前も刻まれていた。思えば、この開眼供養祭に参列
させてもらったのが3月21日で、あれから50日もの時が流れていた。
庵治石でできたこの供養碑は、私にとっての「お遍路座ストーン」である。石碑に
手を合わせ、しばし般若心経を唱えていると、この三ヵ月間のもの道草遍路で出会
った様々風景と人々の顔が、走馬灯のように浮かんでは消えた。これでお遍路も一
区切りすると思うと、嬉しさよりもどこか淋しさが立ち上がっていた。

最後の88番札所大窪寺へは、女体山ルートを選んだ。標高740メートルの女体山を
ゆっくりと味わいながら登った。山頂は岩場になっていて、そこからの眺めは実に
素晴らしかった。しばらく、お遍路の終わりを惜しむかのようにムビラを弾いていた。
女体山から急な坂道を下り奥の院を参拝し、一気に結願寺、大窪寺へと辿り着く。
本堂の前に立つと、その背後に女体山の見事な岩肌が天を指すように聳え立っていた。
「お遍路座ストーン」の新たなる始まりに、ふさわしい光景だった。

おへんろ交流サロンでもらった記念品には、次のような文章が添えられていた。
『四国八十八ヶ所遍路大使任命書 第1431号 群馬県〜須田〜殿
貴方は四国八十八ヶ所歩き遍路約1200kmを完歩され、四国の自然、文化、人との
触れ合いを体験されたので、これを証すると共に四国遍路文化を多くの人に広める
遍路大使に任命致します。
平成17年5月11日 国際ロータリーガバナー…さぬき市おへんろ交流サロン…』

お四国巡りを無事に結願することができた。お礼参りの高野山詣も、四国石遍路の
後に必ず伺いたいと思う。
四国の大地と人々、そしてお大師さんに心より感謝しつつ…。

                     すだぐんじ拝

※携帯カメラで撮影した「遍路道中物故者供養碑」を添付します。

http://ch.kitaguni.tv/u/1871/


○●お遍路小記●○
5/10 晴れ。土佐清水から戻り遍路を再開。屋島寺、八栗寺を参拝し志度寺山門
   下で野宿。
5/11 晴れ。早朝、志度寺をお参りし、長尾寺へ。入谷製麺でうどんを食べ、お
   へんろ交流サロン、遍路道中物故者供養碑を拝し女体山経由で88番札所大
   窪寺を参拝し結願。夜、出釈迦寺隣の旅館坂口で、「イワクラサミットin
   宮崎」の打ち合せ。
5/12 雨後晴れ。我拝師山の捨身ヵ嶽禅定を参拝。立石、三つ岩、青の山を巡る。
   夜、ビーテン氏と合流。
5/13 晴れ。打ち合せをしてホピ村の写真展会場へ。一色さんに大仙山のイワク
   ラを案内して頂く。
5/14 飯山(讃岐富士)に登りイワクラを撮影。
5/15 坂出のビーテン氏の実家、瀬居島のイワクラを訪ねる。夜、今治に走る。
5/16 晴れ。今治駅西集会場でビデオ・スライドショー・ムビラ演奏。
5/17 晴れ。朝倉のふるさと美術・古墳館で学芸員の窪田氏に半井梧庵(なからい
   ごあん)氏の資料をいただく。
5/18 雨。今治市立図書館で、調べもの。

●フォトダマ通信後記

☆5/11〜5/13 イワクラサミットin宮崎の打ち合せで、宮崎からサミット実行委員
 会事務局の谷口様、東京から歴史作家鈴木旭様、奈良からイワクラ学会事務局の
 高橋様とお会いし、香川のいくつかのイワクラを巡り、特に最後の青の山山頂の
 石畳に驚く。打ち上げではビーテン氏を交えてイワクラ談義で盛り上る。わざわ
 ざ四国まで足を運んで下さったことに感謝申し上げます!

☆5/15 ビーテン氏にご実家の坂出、瀬居島のイワクラを案内していただく。ビー
 テン氏が幼い頃、遊んでいた場所がイワクラだったとは、あらためて幼児体験の
 影響の大きさを知る。イワクラで石笛、ムビラの奉納後、ご実家でお母さま、お
 兄さまとお会いし、紫鯛をはじめ魚づくしのお接待をいただきお礼申し上げます!

☆5/16 今治駅西集会場にてビデオ、スライドショー、ムビラ演奏などを行なう。
 企画して下さいました、加納様、チラシ作りとお手伝いを頂いた箱崎様に感謝申
 し上げます。また、ムビラを演奏してくれた馬越君、ありがとう!会場に足を運
 んで下さった方々、沖縄のY氏つながりの方々にお礼申し上げます!

☆5/17 のぶちゃんからメールをもらう。朝日新聞5/17付一面に葦船が写真で紹介
 されているとの事。さっそく購入し葦船カムナ号と八人の姿を見る。皆元気な様
 子で順調に伊豆七島に向っている。何よりだ。

★朝倉のふるさと・古墳館の学芸員窪田様には、半井梧庵(なからいごあん)氏の
 資料を頂きありがとうございました。半井梧庵氏(1813〜1889)は、今治藩医・
 国学者で地誌「愛媛面影」を編纂した愛媛の名付け親でもある。また、医師、国
 学者の他、歌人、蘭学者、神官、写真師と多方面で活躍した方で、注目したいと
 思う。

◎写真展と今後のイベントのお知らせ

●須田郡司写真展「世界のイワクラ」
・ホピ村 http://homepage2.nifty.com/hopi/(香川県木田郡庵治町5297-6)
・5月10日(火)〜5月29日(日)10:00〜18:00
・但し12日(木)、19日(木)、26日(木)はお休み。

●「イワクラサミットin宮崎」
イワクラ(磐座)学会全国学術大会2005
2005/07/16(SAT)〜07/17(SUN)
・西都原考古博物館大ホール
・参加費1500円(7/16 7/17 とおし券)
 ローソンチケットにて、前売り券販売中《Lコード 89157》

主催:イワクラ(磐座)学会 共催:NPO法人 宮崎文化本舗 協力:猫ばす堂
後援:宮崎県 宮崎県教育委員会 西都市 西都市教育委員会 西都市観光協会 
えびの市 えびの市教育委員会 (財)みやざき観光コンベンション協会 NHK
宮崎放送局 UMKテレビ宮崎 FM宮崎 MRT宮崎放送 MCN宮崎ケーブル
テレビ 鉱脈社 宮崎日日新聞 日本経済新聞社 朝日新聞社 毎日新聞社 西日
本新聞 読売新聞西部本社 夕刊デイリー

・お問い合わせ
〒880-0805宮崎市橘通東3-1-11アゲインビル2F NPO法人宮崎文化本舗内 
イワクラサミットin宮崎実行委員会事務局(担当:谷口)
TEL0985−60−3911 FAX0985−28−1257 
HP http://www.bunkahonpo.or.jp/

★スケジュール

○7月16日(土)
12:00 受付開始
13:00 開会式
13:30 基調講演「岩と石の造形 ―古墳に込めた想い―」
    北郷泰道氏(西都原考古博物館主幹)
14:40 休憩
16:10 スライドトークショー「世界のイワクラ」
写真家・須田郡司氏
ホスト・鈴木旭氏(歴史作家)
16:10 休憩(学会員以外は退室)
16:20 イワクラ学会年次報告
17:00 1日目終了予定
18:30 交流会開催 参加者募集(定員80名)
場所:さいと温泉 1泊 6000円

○7月17日(日)
9:30 2日目開始
9:40 全国の調査研究学術発表(3名予定)
12:10 午前中終了
13:20 午後の部開始
全国の調査研究学術発表(3名予定)
16:00 閉会式
16:30 終了予定

○7月18日(月・祝)9:00 現地調査 ※詳細未定 参加費 4500円 定員40名
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