■□■□   フォトダマ通信 Vol.35 「葦船カムナ出航」の巻        ■□■□

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2005.05.10記

5月8日夕方、葦船カムナ号を曳航するタグボートは、足摺半島の臼婆を過ぎ
ると、進路を南にとりゆっくりと航行していた。
石川仁をキャプテンとする葦船カムナ号には、イースター島のテバ、あっちゃ
ん、あきさん、とーるちゃん、なおさん、しげさん、森さんの計八人が乗り組
んでいて、カムナ号の後ろの伴走船のヨットには、ジョナサン、もっちゃんが
乗っていた。

船が沖へでるにつれ、しだいに波は高くなり、タグボートは揺れはじめた。
「やばい」と思ったとき、すでに船酔がやってきた。船室横の階段に蹲りなが
ら、時折カムナ号を見るのがやっとといった状態がつづく。
船員が何かを叫んで船を停めた。漁の網に何かが引っ掛かったようだ。それは、
体調50センチほどの海亀だった。

ほどなく海亀は網から自力で外れ、海中へと潜っていった。「海からの使者か
も知れない」そう思った。葦船カムナ号の初の外洋航海に、海は粋な演
出をしてくれる。
タグボートが港を出て二時間、ようやく海上の道(黒潮)に辿り着くとカムナ
号と結んだロープは外され、白い帆が少しづつ上げられていた。私は、船酔い
でふらつく体に活を入れ、気を取り直してカムナ号に向かって夢中でシャッタ
ーを切っていた。

5月6日、83番札所一宮寺までの区切り打を終えたその日の深夜、フォトダマ
号で土佐清水へと向かった。愛媛ルートで走ると、所々お遍路で歩いた道が見
え、その時の記憶がフィードバックする。まるで逆打をしているような、しか
も猛スピードで。
途中、洗濯や原稿書きをしながらの移動だったため、土佐清水に入ったのは深
夜零時を過ぎていた。カムナ号の横にフォトダマ号を横付けし船を見ると、浸
水式の時と比べ随分船室も整い、舵の屋根にはソーラーパネルが貼られていた。
寝袋を持ってしばらくカムナ号の船上に横になった。一時間もしない内に、電
話が入った。のぶちゃんからだ。「ラッコちゃんも来てるから、ベースキャン
プに早くおいで!」お酒を飲んでいたので、のぶちゃんが車で迎えに来てくれ、
ベースキャンプに入るとスタッフの面々が、盛り上がっている。熊本から来て
いたラッコちゃんとも再会し、明け方まで宴はつづいた。

辺りは白みかかってきて、これから有志が白皇山の山頂で御来光を拝みに行く
という。睡眠不足だったが、酔いの力で同行することにした。久しぶりの白皇
山の巨石を見ながら、ずっとムビラを弾いていた。下山後、しばらくベースキ
ャンプで爆睡する。

午後一時すぎ、土佐清水の港には、人々が集まっていた。これから出航セレモ
ニーが行なわれようとしていた。ラッコちゃんは奥さんと子供を連れて、美内
さん、望月さん、きみさん、美江さん、佐鳥夫妻、けんけん、キンドウさん達
とお会いできた。
はじめに、来賓の水中考古学者の茂在寅男氏の言葉、土佐清水市長、高知県知
事のメッセージの代読の後、カムナ号キャプテン石川仁が挨拶をし、乗組員を
紹介する。みんなどこか緊張しているが、いい顔をしている。三ヵ月間もの葦
船作りを終え、晴れの舞台での幸せな顔だ。

インド、アフリカ音楽の演奏、餅投げが終わるといよいよカムナ号は出航しよ
うとしていた。私は急いでタグボートに乗り、カムナ号と岸壁を見守りながら
ファインダーを覗いていた。何人かのスタッフの顔は、涙で濡れていた。港に
は約三百人近い人々が、岸壁を離れるカムナ号を見送り、手を振っていた。

カムナ号は自力航行に入った。タグボートは足摺半島へと進路をとってゆっく
りと戻りはじめた。しだいにカムナ号の姿は小さくなってゆく。全長16メー
トルもの葦船も、大海から見れば、まるで木の葉が浮いているように見える。
やがて、小さな点のようになり、その横を曳航するヨットのポールが微かに光
っていた。そして波間に消えていった。
きっと、今頃、あの海亀はカムナを見守ってくれていることだろう。葦船カム
ナ号の安全航海を祈り、みんなと笑顔の再会を願いつつ…。

 三度、香川に戻りお遍路を再開。85番札所八栗寺にて   すだぐんじ拝



● フォトダマ通信後記 ◇

土佐清水の文化を考える会の皆さんをはじめ、事務局ののぶちゃん、めぐちゃん、
つっちー、あやちゃん、べっちゃん、由美さん、吉良ちゃん、ゆうくんあらため
タカツ、チーちゃん、その他スタッフの方々、本当にお疲れさまでした!
                                                                        
                                ぐんぐん拝
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