■ フォトダマ通信Vol.21 「熊野の知らせ」の巻


ルート42号線の和歌山と三重の県境の橋の上から、御船祭りが見える。七艘の
手漕ぎ船は、熊野川の河口を目指していた。
「私が幼い頃は、川沿いに沢山の屋台が出て見物人で賑わっていましたね。」と
ジャフの運転手は言った。
私は、御船祭りを六年前にも見たことがあった。その時と比べても見物人は少な
い。しかし、祭りを観賞する氣にすらなれなかった。ジャフのトラックの荷台に
は、フォトダマ号が乗っていた。とうとうタイニングベルトが切れてしまっのだ…。

11月16日、その日は新宮の熊野速玉大社の秋の例大祭と、御船祭りがおこな
われる日だった。
熊野川添いの駐車場で車中泊し、食事を済ませてから紀宝町の武和さんに電話を
した。武和さんとは、今回初めてお会いするが、パッチワークハウスの話は、何
人かの人達からよく耳にしていた。武和さんは「一時間後に会いましょう」と言
って、新宮郵便局で待ち合わせをすることにした。

武和さんは、自称「熊野の小使いさん」で、熊野の景勝地や歴史をはじめ人物紹
介など様々なガイドをされている方だ。イワクラにも造詣が深く、今回、桃太郎
岩をはじめイワクラの案内して頂きたいと思っていた。
武和さんは、さっそく紀宝町のいくつかのイワクラを案内してくれた。しばらく
して、パッチワークハウスに荷物を下ろし、フォトダマ号で桃太
郎岩に向かう事にした。しかし、5分も走らないうちに坂に上りかけたその時、
プツゥッと小さな音と共にフォトダマ号のエンジンは止まった。

とうとうやってしまった、そう思った。走行距離12万キロを超えていて、タイニ
ングベルトの交換を考えたものの経済的負担を思いそのままにしておいたのだ。
武和さんは、まずは安全なところまで運ぼうといって、坂下のバス停近くまで押
しながら移動した。武和さんは、さっそく軽トラを持ってきてくれ
「近くの、修理工場まで運ぼう」
と言って、ロープでフォトダマ号を引っ張ってくれた。ブレーキはきかなくなり、
サイドブレーキを使いながら何とか修理工場まで運んだ。

「こらぁ、もうあかんなぁ。修理したら高くつくで、廃車にしたほうがええでぇ」
と修理工場の人は言った。
タイニングベルトを交換していなかった代償は大きかった。しかし、電波の届か
ない山の中で切れていたら、と思うと不幸中の幸いなのかも知れない。
しばらく、フォトダマ号を修理工場に置かせてもらい、武和さんと共に軽トラで
桃太郎岩へと向かった。桃太郎岩は、ちょうど桃がパカッと割れた状態の大きな
岩で、そのまわりには滝があり岩棚の上にまるで人為的に置かれたようにな神々
しい岩だった。

その後、いくつかのイワクラを廻った。ほんの触りだけを見せて頂いたが、熊野
のイワクラは実に驚くべく世界だと思った。

戻ってきて、さっそくジャフに連絡をし、フォトダマ号をレッカー車に乗せ三菱
自動車新宮店へ向かった。


御船祭りはフィナーレに近づいていた。
ジャフの運転手と新宮の祭りの話をしていると、彼は何度か、神倉神社のお灯ま
つりに参加していると言う。

約二年と九ケ月前、私もお灯まつりに参加したことがあった。ニ千人もの上り子
の一人として、体に荒縄を巻き松明を持って参加した。その時、最も印象的だ
ったのは、神倉神社の境内で、一人一人の松明に火が灯され始めた時だった。ゴ
トビキ岩は、しだいに松明の灯りによってうっすらと浮かび上がった。その光景
は、言葉に言い表わせないくらい幽玄で幻想的に感じた。この祭りが、実に千年
以上つづいていることは奇跡に思える。そして、神倉を降りた男達は沿道を誇ら
しげに歩く。沿道をびっしりと埋めつくす女達の眼差し…、まさに「マグワイ」
の世界がそこにはあった。

フォトダマ号は、三菱自動車に運ばれた。車を見てもらうとエンジンやその他も
かなり痛んでいるとの事だった。
一年以上に渡って伴に旅を続けてきたフォトダマ号と、いよいよ別離の時がきて
いることを感じていた。
「お知らせかも知れんね」と武和さんは言った。
再生の地、熊野は、あらたな石巡礼への展開を導いているのかも知れない…。

フォトダマ号、ありがとう!そしてお世話になりました!


                      2004.10.19
         熊野のパッチワークハウス 須田郡司 拝


●フォトダマ通信後記

☆ 和歌山の地元紙で働く桂ちゃんには、古座川の石、岩をはじめ幾つかの祭り
  を案内して頂いた。桂ちゃんとは、思えば10年以上前の東京での出会い、数年
  前の宮古島での再会、そして熊野…不思議なご縁に感謝!串本での鮪茶ずけは、
  美味しかった!ありがとう!また、紹介頂いた里山道場を開かれる室様に
  は、古座川のたくさんの魅力を教えて頂き感謝いたします。

☆ 約三年ぶりに那智の中村さんと再会する。台風時、中村さんから、メールを
  いただきお言葉に甘え宿を提供して頂く。お持て成しを頂いた上、久々に飲み
  語りあう事ができ、ありがとうございました。

☆ 取材に来ていた和歌山のMarちゃんと勝浦で再会。ハンバーグステーキをご
  馳走になり、ありがとう!

☆ パッチワークハウスの武和さんには、大変お世話になっている最中です。あり
  がとう御座います。
  
☆ パッチワークハウスでは、偶然にもオフィス天の彩ちゃんと再会する。
  けんちゃん、COCOちゃんと共に古座川の景勝地を巡り、鮎の火振り漁を見
  る。いま制作中の熊野のDVD、楽しみにしてます。また、メルマガを読んで
  頂いている柴ちゃんと出会い、「白菜鍋」を作って頂き感謝です。

☆ いつも、フォトダマ通信のバックナンバーを載せて頂いているトラベルライ
  ターの森本剛史さんから電話を頂き、弟さんである漢方の森本薬店オーナー
  をご紹介頂く。森本様と水野様にお会いし、宴席を設けていただき、奥深き
  熊野や新宮の話を伺うことができ、誠にありがとうございました。

☆ 前回のフォトダマ号外を読んで下さって、さっそく何人かの方々から車のオ
  ファーを頂きました。ご配慮いただきまして誠にありがとうございます。ま
  だ、はっきり決めかねておりますが、後程連絡させて頂きます。

★ ↓こちらで画像をみていただけます。

http://ch.kitaguni.tv/u/1871/





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