■□□■ フォトダマ通信Vol. 9「沖縄の地下聖地」の巻  ■□□■


                                    
■┏┏┏┏┏┏┏■┏┏┏┏┏┏┏┏■┏┏┏┏┏┏┏┏■┏┏┏┏┏┏┏┏■


二月某日、初夏のような陽気の中、沖縄本島M岬にはたくさんの観光客で賑わってい
た。人々は海の美しさに歓声を上げ、喜びながらシャッターを押していた。
私は、M岬の先端の隆起石灰岩に座り、一人ムビラを弾いていた。さわやかな風を体感
しつつ、時折リーフを眺めていた。かつて沖縄に住んでいた時もそうだが、何度見ても
このエメラルドグリーンの色に心を揺さ振られる。しばらくすると、携帯電話が鳴っ
た。友人のソフトンからだった。


ソフトンと再会するのは半年ぶりくらいだが、キャラバン中ということもあって随分久
しぶりな感じがする。彼女は今年から、沖縄に住み始めていた。
ソフトンと出会ったのは、五年程前になるだろうか? 京橋での個展のオープニングに
友人と一緒に来てくれた。その頃彼女は、まだ芸術を志す学生で、一度、N大校内での
作品展を見たことがあった。「すきすき神社」と呼ばれるドーム状の不思議な作品だっ
た。その中で、手作り琴「月瓢箪」を爪弾いた覚えがある。


彼女は沖縄に住んでから、近所に住むとある神社の宮司と親しくなり、最近、硯ぎや聖
地巡りをしているという。
その日、宮司の案内でM岬で喫ぎをし、聖地を案内して頂く事になっていた。
宮司、ソフトン、宮司の所でお世話になっている青年と私の四人はM岬で合流した。
ソフトンは元気そうだった。人のつながりの中で、絵を描く仕事もしているようだ。青
年はフォトダマ号の絵が気に入ったのか、デジカメに収めていた。


宮司に挨拶をし、話しながら海岸の岩場へと向かった。驚いたことに宮司は、私の友人
の漫画家と交流があり、最近、沖縄に来ているので会ったら宜しくと連絡を受けていた
という。岩場を下方に降りて行くと、みごとな海食洞窟が姿を現し始めた。
しぱらくすると宮司は、いきなり海に飛び込んだ! 私も、揮姿になり海へと入った
。我々は海の人となった。
背泳ぎ状態で、洞窟の天井をみながら海へと向かう。まるで恐竜の胃袋の中にいるよう
な錯覚に陥る。太古の記憶が蘇ってくるような…。


洞窟の外にでると、太陽の日差しが心地よく体を照らしてくれる。浅瀬に腰を下ろし、
洞窟の入り口を眺めていると、近くにソフトンがいた。彼女は、まるで人魚のように岩
場に寄り添うように休んでいた。現実の時は止まり、神話の時が刻みはじめていた…。
そしてやがて襖ぎが始まろうとしていた。我々は再び洞窟という異界へと泳いでいっ
た。
洞窟近くに、その場所はあった。小さな穴には海水が溜り、呼吸をするかのように音を
たてていた。そこが膜ぎ場だった。宮司は蝋燭を灯し、口上をのべ海水に七度、全身を
沈め身を清めた。引き続き我々も、全身を海水に七度づつ身を沈めた。厳かに襖ぎは行
なわれた。寒さはそれ程感じられなかった。私は、しばしその場所にムピラを奉納し
た。


その地下の聖地は、住宅街にほど近いところにある鍾乳洞だった。かつて、宮司の御母
堂様は、まるで大本の開祖、出口直氏のような生き方をされていて、沖縄中の聖地開き
をしたという。ここの鍾乳洞を開かれた当初、簡単に人を寄せ付けなかったという。何
年か前になって、この場所が「愛のエネルギー」に変わり、人々を受け入れるように
なったという。
我々は宮司の先導のもと、ゆっくり地下へと向かった。沖縄には多くの鍾乳洞がある
が、ここは、まるで神が意志を持って創ったとしか思えない不思議な雰囲気があった。
根の国、底の国、天国と呼ばれる場所には、様々な鍾乳石の姿、象を現していた。かた
ち…羽の生えた亀、龍神、女陰などなど。
しぱらくすると、龍がまるで口を開けている龍頭が姿を現した。
ソフトンは龍頭にまたがり、角に手を添える。まるで日本昔話の挿入画のような光景が
…。我々はゆっくり、その竜頭に乗せて頂いた。宮司は、その時に受けた言葉を語って
くれた。


さらに下方に進んでゆくとそこには、大地母神の鍾乳石の姿が鎮座していた。
蝋燭に照らされたその姿は、胎児を宿す母体がホトをあらわにしていた。その前には、
陽石とも子供とも思えるような鍾乳石があった。我々はその大地母神にそれぞれ額をあ
て、しばらく祈った。宮司の口からは、様々な言葉が降りてきていた。
私に対しては、だいたい次のような言葉を頂いた。

 「やっとここまできたな。今日の良き日に、われこそは丑寅の金神なるぞよ。その名を
覚えておけ。誠を持って、その道を進むのなら、守護するぞよ。われは大地母神なり」


沖縄の地下聖地は、ほんの入り口を見させてもらったに過ぎない。
あらためて身を引き締め、沖縄石巡礼を続けたいと思う。


後で宮司からメールが届いた。

「新月、満月の日には、大地の母の愛に包まれて天の父の光を身に浴びて人の心を誠の
心にと願い人間一人一人が神・自然・祖先と心身で結ばれ宇宙の和合となり世界平和が
訪れると思っています、どうか誠の願い祈りを他の人にも広げて頂きます様御願いいた
します。
祈りの時間は、朝8時と夕方18時です。祈り方は其の方々のやり方でそのときにいる
場所であまりかしこむ事なく心の願いを祈りを御願いします」

宮司の呼び掛けに、私は共感し、これから新月と満月に、心を合わせて祈りたいと思
う!


2/20夜、宮古島行きの船の中で、仙人のような彼と再会。彼はこれから八重山に向かう
との事、星の下でディジュリドーとムビラのセッションをする。
宮古は雨に迎えられ、風邪をひいてしまう。平良市市役所での写真展は、無事終了。多
くの方々に見て頂き、お世話になった。


オトーリ三昧の後、携帯電話を落とすも、三日目に奇跡的に見つかる。石を生み出す人
との出会い。石庭の新城さんとの再会。東京から来た友達は、濃い宮古体験を喜んで帰
る。
八重山行きを少し延ばし、しばらく宮古石巡礼三昧を続けたい!

            2004.3.2 宮古島にて   須田郡司 拝

─────────────────────────────────────

« 前号次号 »